
今日はクリニックの内覧会でした。
本当に数多くの方に来院していただき、大盛況でした。
君津中央病院時代の仲間や患者さん親子もたくさんきてくれましたが、
近所に住んでいる親子もたくさん来てくれて、
需要が多いところなんだなと実感しました。
さて、その中でも大変印象深かったことをひとつ。
僕が13年前に手術したS君親子が遊びに来てくれました。
S君は生まれてすぐに手術が必要な病気であり、
当時医者5年目であった僕が主治医となり手術をしました。
ところが合併症が生じ、再手術をしたところ、
最初の手術でのミスが判明しました。
ご両親にはありのままを伝え、深くお詫びしました。
通常ならば、主治医をクビになっても仕方がないところです。
ところがご両親は、引き続き僕が主治医でいることを望みました。
まるがそれが特別なことではなく、当たり前のことのように。
僕は必死になってその後その子の治療に当たりました。
真夜中でもちょっとおかしなことがあれば、
すぐに駆けつけて、付き添っているご両親とお話しました。
5年目ということもあり、経験不足で治療もスムーズには
いかずに大変だったのですが、
約半年かかって、その子は普通の子と同じように
元気な姿になりました。
そして、親御さんは普通のことのように僕に言いました。
「Sを助けてくれてありがとうございました。」
何を言ってるんですか!
僕のせいで治療が半年も伸びてしまったんですよ!
そんな僕に対して恨みごと一ついうことなく、
いつも自然体に対応してくれたご両親には
本当に頭が下がる思いでいっぱいでした。
「小児外科医にとって患者さんが一番の先生なんだよ」というのは
よく言われる言葉なのですが、
まさにS君は何よりの先生であり、
今の僕がまかりなりにも医師を続けていられるのは、
彼と彼のご両親のおかげといっても過言ではないくらい、
貴重な経験をさせていただいたのです。
ご両親と僕は3人とも同い年で、
その後も毎年年賀状の交換はしていたのですが、
県内でも離れたところに住んでいたので、
なかなか会う機会はありませんでした。
今回、クリニックの内覧会のご案内は出していたのですが、
来てもらえるとは思っておらず、
なんと13年ぶりに親子3人でクリニックにきてくれました!
当時1歳になってなかったS君は、もちろん僕とは初対面。
中学生になったS君は、それでもきちんと当時の面影があり、
ご両親と当時の話がはずみました。
「あの時は助けていただいて、本当にありがとうございました。」
と言って下さるご両親に、当時の不手際を詫び、
何で僕はここにいるのかなあ、と不思議そうなS君に
「僕はS君のお陰でこうして今、医者になれたんだよ」
と感謝しました。
本当にたくさんの人がきてくれて、本当に嬉しかったのですが、
中でも一番嬉しくて、少し泣いてしまったのがS君親子との再会でした。
明日から「やまだこどもクリニック」が始まります。
多くの人に支えられてここまで来ることができたのだと本当に実感でした、
僕にとっても有意義な内覧会でした。
これからは、自分の夢であった、
「地域のこどもたちのためにできることを精いっぱいやること」
ひとつひとつ、実践していきたいと思います。
よろしくお願いします。