2018-09-30(Sun)
今日も休日診療所にきた患者さんが
嘔吐で他院を受診した際、
便秘が原因だ、と言われたそうですが、
便秘で嘔吐することはありません。
おそらく僕はこの地域で
小児の重症便秘を最も多く見たことがある医者だと思いますが、
重症便秘の症状は、なんと下痢です。
直腸に大人の拳より大きな便塊があって
自力ではだすことができなくなり、
それでも飲食はできているので
軟便が硬便の隙間をすり抜けて出てくるため
下痢が出てくるのです。
この下痢は自分の意思とは関係なく出てくるのが特徴です。
排便とは直腸に便が降りてくることで直腸が拡張し
それが便意となって脳に伝わります。
重症の便秘の場合は直腸が便塊で拡張しっぱなしになるので
便意がでず、下痢が肛門から出てきます。
お腹を触診すればすぐにわかることですが、
小学生や中学生のお子さんで主訴が下痢だと
お腹を触らずに下痢止めや整腸剤を出す医師もいるため、
便秘が改善せずにひどくなる場合もあります。
もちろん、そういう重症便秘は
浣腸でも排便させることができないので
肛門から指をいれて摘便します。
ひどい場合は全身麻酔をかけて摘便することだってあります。
僕が中央病院に勤務していた頃は
毎年1人か2人、そういうお子さんを
手術室で全身麻酔をかけて摘便していました。
お子さんが嘔吐が始まった場合、
嘔吐物が食物残渣であれば
普通は胃腸炎である可能性が高いので
まずは自宅で飲食せずに経過観察をするのがよいと思います。
普通の吐き気止めは効果がないことが多いので
吐き気止めをもらいに病院に行くことはお勧めできません。
当院では吐き気止めとして漢方薬を肛門から注入していますが、
これは非常に効果がありますので
嘔吐が始まった場合は一度ご相談ください。
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